
赤川 静流
Akagawa Shizuru
切子作家、切子体験教室講師
2003年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業
2018年 創 吉入社




同じデザインを繰り返し製 作する一般的な職人に対し、その場その時のインスピレーションを形にするスタイルを得意とする赤川。量産された作品とは違う、ひとつひとつの表情の違い、作品との一期一会の出会いをお楽しみください。
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使用技法について
絵のような彫刻をガラスに描いていく、花切子の技法。
ヨーロッパから始まるこの技法は江戸時代に日本に伝わり、当時から職人たちによって様々な美しい花切子が作られていました。現代では江戸切子が有名になったのに対してあまり知られていない花切子ですが、その自由度や表現力には、花切子ならではの魅力を見ることができます。
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講師視点のものづくり、作家視点のものづくり
普段は切子体験教室の講師をしており、切子を初めて体験されるお客様のためのサンプルも作っていますが、体験用のサンプルと自分の作品とでは考えることは違います。体験用のサンプルで大切なのは、お客様に「これなら私にもできそう!」と思ってもらえること。幾何学模様などきっちりとした下書きや彫りが必要なデザインはとっつきにくいのではと思い、イラストの延長のような柄を意識して作っています。
一方で自作として何か表現するのであれば、自分にしか作れないビジュアルを、と考えます。個人的に好きなのは、曲線のしなやかさやシャープな描線を活かした細密な絵柄。その中で描きたいモチーフをいかに抽象化できるか、シンプルに力強く見せられないかなどを考え、今の作品にたどり着きました。
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作品について
直線と曲線の組み合わせでできる繊細な模様づくりを。ちょっとした曲線の振り幅の違いで起きるパターンごとの差分を楽しむようなデザインを。量産に向いてるかは分かりませんが、手しごとの良さが出るように作ったのが私の作品です。
この曲線のパターンを見つけたのは、体験教室で教えている中でのことです。曲線を彫りたいお客様に、「これくらいの曲線ならできないこともないけど、これくらいの曲線になると難しい」と練習用のグラスで実際にやってお見せすることがあるのですが、その時に思いの外いい線ができることもあり、それが作品の原型になっていたりします。手なりで何気なく彫っているものには自分の良さ––––もちろん悪い所もですが ––––が凝縮されてると思うので、そこから気づきを得ることも多いです。
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今後について
色々な人に気軽に手に取ってもらえるように、独りよがりで高飛車な作品にはならないようにしたいです。私自身はもともと作ること自体が好きと思うことはあまりなく、それよりも作品を見た人が、かっこいい、かわいいと言って喜んでくれる方が嬉しい。子供でもおばあちゃんでも宇宙人でも、喜 んでくれるなら私も喜んで作ります。今後も色々な人の多様な趣味にリーチできるように、幅広いデザインを作っていきたいと思っています。
