
栗田 佳奈
Kana Kurita
切子作家、切子体験教室講師
2010年〜2013年 江戸切子のスクールにて切子技術を習得
2018年 上智大学外国語学部卒業、一般企業に就職
2019年 秀石工房にて切子技術を習得
2021年 創吉入社
2025年 自身の切子ブランド”KANA KURITA"を設立




1
使用技法について
切子は、ガラスの表面に人工ダイヤを用いた円板や砥石を使い、さまざまな模様を切り出す技法です。切子の柄は、伝統模様として受け継がれている菊や麻の葉などの植物や、籠目・格子など江戸の生活器具を図案化した模様を巧みに組み合わせて作り出されます。 栗田の作品はそのような伝統柄を取り入れつつも、伝統的な切子のイメージに縛られないシンプルかつタイムレスな作風が特徴です。
2
切子との出会い
父が江戸切子を習うことができるスクールを仕事で取材し、昔からものづくりが好きだった中学生の私にすすめてくれたのがきっかけです。切子やグラスカットの経験は全くありませんでしたが、始めてみると楽しく没頭していました。ちょうどその時旅行やホームステイで海外に行くことがあり、作った切子をホストファミリーにプレゼントし喜んでもらったのを覚えています。 海外に行く中で国外での日本文化の評価の高さを知り、日本で生まれ育った者としてその素晴らしさを海外に発信したいと漠然と思うようになりました。卒業後は日本のものづくりを世界へという思いからメーカー企業に就職したのですが、実際はすでにできた製品を販売したりと間接的な仕事内容。自らの手でものづくりがしたい、という思いが日に日に大きくなる中で、江戸切子の日としてイベントが行われていた際にたまたま開催していた切子体験に参加。そこで数年ぶりにグラスをカットした時、その没入感と自分の手でカットが生み出されていく面白さに、自分がやりたいのはこれだと感じました。
3
長く愛される”less is more”な作品を目指して
映画、ファッション、建築…小さい頃から昔の文化に心惹かれることが多く、その時代にタイムスリップしたような懐かしい感覚を覚えることがあります。
切子も昔から愛されてきた日本の文化ですが、いわゆる江戸切子と呼ばれるデザインはデイリーユースには少し豪華で敷居が高いのではと感じることがあります。
切子を日常生活に気軽に取り入れて欲しいという想いから、私のシリーズには伝統模様を再構築し削ぎ落としたシンプルなデザインのものが多くなっています。
”less is more”とよく言いますが、何十年も愛される有名ブランドのファッションやジュエリーのように、時代や流行に左右されないタイムレスなデザインを生み出していけたらと思っています。
4
今後の展望
これまで手がけてきたシリーズは日常づかいにはもちろん、日本料理のお店にも合うのではないかと思っているので、そういった場面で多くの方に手に取っていただけたら嬉しいです。また、今後はお皿や小物入れなどグラス以外の商品、あるいは外国のお客様をターゲットとしたデザインにも挑戦していきたいと考えています。 どんな人にとっても、飾るもよし、使うもよし、日常に切子をプラスすることで日々の生活が少しだけ豊かに、ときめくものになればいいなと思っています。
